2008年3月16日日曜日

「悪党的思考」のすすめ

田中 尚輝 (著) /1,365円(税込)/中央アート出版社
 本書のタイトルにある「悪党的思考」の意味に惹かれて読み進む内にマルクスの資本論にある「地獄への道は善意で埋め尽くされている」という有名な一説を思い出した。 「悪党的」と聞くと、アウトローなイメージを持つが、本書での意味はそれではない。本書では「悪党」とは楠木正成を代表とする鎌倉末期の豪族の総称で、無勢で多勢に打ち勝つだけの即興や変化といった能力に長けたもの、として紹介している。そこに現代のNPOやリーダーは多くを学べるのではないか、というのが筆者の主張だ。 筆者は、まずNPOやボランティアが善意を創造する上でいかに価値があるのかについて触れた上で、現在の日本では、個々人、個別組織が善意のもとに取り組んだことの積み重ねが、善性に導かれた社会を実現するに至っていないこと、そして、NPOやリーダーの社会変革を実現することへの意識の低さを指摘し、その処方箋を講じている。 「NPOとそのリーダーは社会を変えるという選択をしたのだから、自らが善意の塊であることに自己満足していてはならない。」(私も講義では必ず紹介する)ドラッカーによる「非営利組織の役割」*にも通じる一節だが、NPO法制定から10年を迎えるいま、日本のNPOとリーダーが最も意識すべきことであろう。まとめにくいテーマだが、実務経験豊富な筆者ならではの具体策を盛り込み、読みやすくまとめられている。NPOとリーダー必読の一冊である。(す)  *P・F・ドラッカー「非営利組織の経営」1991

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